緑茶は、食後やリラックスタイムにぴったりの飲み物。普段からよく飲んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に、急須で丁寧に淹れた緑茶の美味しさは格別です。しかし、そのあとに残った“茶葉”、あなたはどうしていますか?実は、茶葉は食べることもできて、しかも美味しいんです!
今回は、お茶のプロから聞いた「緑茶を美味しく淹れる方法」と「残った茶葉の食べ方」をご紹介します。
伊勢茶のイベントで“本物の淹れ方”を学ぶ
筆者は、東京・日本橋にある三重県のアンテナショップ「三重テラス」主催のイベント『mieterrace POP-UP Restaurant vol.12 伊勢茶の新茶を愉しむ会』に参加。

案内人は、三重県松阪市の茶農家直営店『深緑茶房』の店長・小林俊之さん。いわゆる“お茶のプロ”です。伊勢茶の魅力、美味しい淹れ方、そして茶葉の意外な楽しみ方を教えてくれました。
緑茶を美味しく淹れるために必要な道具

美味しい緑茶には道具選びも重要。特に次の3つ(急須、湯呑み、湯冷まし)は必須です。
1. 急須
お茶を多く抽出する必要がなく、しっかりと味や香りを楽しみたい場合、急須の容量は少なめがベター。そもそも緑茶は淹れ方次第で複数回煮出すことができるため、小さいサイズでも十分な量のお茶を作ることができます。

また、急須の中で“茶葉”と“美味しい成分”は沈んでしまうため、容量が大きいと「はじめにあまり旨味が出ていない部分が注がれ、後半にしっかりと旨味が出た部分が注がれる」と、味にバラつきが出てしまうのです。
ちなみに、イベントで用意されていた急須は1~2人用といったところでしょうか。
2. 湯呑み
湯呑みは何でもOK。ただし、今回は少量ずつ淹れる方法のため大きすぎないサイズが◎。
3.湯冷まし
また、あまり見慣れない「湯冷まし」もあったら便利です。名前の通りお湯の温度を下げるための道具で、お茶を最大限楽しむために必要となります。
こちらもお好みのデザインのもので問題ないでしょう。
あると便利なアイテム
あとは、お湯を用意するため「電気ポット」「やかん」「保温ポット」などのアイテムもあると便利かもしれません。
美味しいお茶の淹れ方

お茶は基本的に注ぐお湯の温度が高くなるにつれて、カフェインやカテキンが抽出(80℃以上)され「苦み」「渋み」が強くなります。
そのため温度を調節することで、異なる味わいを楽しむことができるのです。
【一煎目】甘みを引き出す低温抽出
まずは湯呑みにお湯を注ぎましょう!
これは「量を測らずとも1杯分のお湯を用意できる」「湯呑みを温める」「お湯の温度を下げる」という、一石三鳥のメリットがあります。
その後、湯冷ましにお湯を移し、湯冷ましに手で触れられる程度になるまでお湯の温度を下げていきます。急須に茶葉を入れるタイミングは決まっていませんので、ここの時間を活用するのアリですね。

お湯が手で触れて熱くない程度に冷めたら、急須に注ぎ1分待ちましょう。
あとは最後の一滴まで落とせば完成です。かなり薄めの色となっていますが、これでOK。そして、注ぎ終わったらフタを外して、蒸れないようにしておきましょう。
実際に飲むと想像以上の甘さに驚きました!かなり低温で煮出したことで苦味や渋味は抑えられているものの、しっかりとお茶の香りは感じられます。これ、冷やして飲んでかなり美味しいかもしれません。
【二煎目】“緑茶らしさ”を味わう中温抽出
そして2煎目は、湯呑みにお湯を入れ1杯分のお湯を用意し、すぐに急須に移します。すでに茶葉は開いていますので、その後待ち時間なしで湯呑みに注いで完成です。

甘さに特化した先ほどより、濃いめ・苦めに抽出され、より“緑茶感”を味わうことができます。分かりやすく美味しいお茶といった感じで、このバランスの良さはいい意味で万人に好まれそうです。
【三煎目】ガツンと濃厚!高温抽出
そして、今回のラスト(もちろんその後もお好みで抽出可能です)の三煎目は、急須にダイレクトにお湯を注ぎましょう。

80℃を超えているため、カフェインやカテキンがガッツリと溶け出し、3煎目にしてもっとも濃い色合いとなっています。
もちろん、味・苦み・香りがもっとも感じられガツンとした味わい。イベントでは和菓子が添えられていたのもあり、筆者はこれがもっとも好みでした。
とはいったものの、淹れ方次第で全く異なるお茶を楽しめるのは、大きな発見です。代替の食器さえあれば、自宅でも気軽に試せるのも嬉しいポイントですね。
茶葉の美味しい食べ方
次に残った茶葉の食べ方をご紹介。すでに複数回抽出していますので、茶葉はしっかりと開き柔らかくなっています。


すでに苦みや渋みは抽出済みであるため、そのまま食べてみたところ心地の良いお茶の香りと程よい苦みを楽しめて、これが想像以上に美味しい。食感はまさに茹でたほうれん草のような感じでしょうか。

イベントでおすすめされた食べ方は「ポン酢」で、塩味・酸味と茶葉の香りが絶妙にマッチして、これが想像の何倍もウマい!今まで捨てていたのがもったいなく感じるレベルです。

なお、同イベントでは茶葉の天ぷらもあり、見た目からもわかる通りこちらも激ウマ。茶葉は飲んでも食べても美味しいんですね。
急須と少しの工夫があれば、自宅でも甘み・渋み・香りを自由にコントロールできます。さらに、茶葉まで活用すれば、食品ロス削減にもつながり、体にも優しい!
ぜひ、お気に入りの茶葉と道具で、“本当に美味しい緑茶の世界”を楽しんでみてください。
【引用・参考】
三重テラス:https://mie-terrace.jp/
深緑茶房:https://www.shinsabo.com/